2013年11月19日火曜日

イギリスで紅葉を楽しむ? 憩いの公園 Valley Gardens


日本ではお馴染みの紅葉の季節が近づいています。
 こちらヨークシャーのハロゲートはすでに紅葉真っ只中で、
すでに多くの枯葉が沿道に敷き詰められています。

ここで素朴な疑問、イギリスに日本のように紅葉を楽しむ文化はあるのでしょうか?
今回はその検証を兼ねて、ハロゲート住民の憩いの公園であるValley Gardensを散策してみたいと思います。

私がイギリスに来て一番驚いた事の一つが、公園の多さとその美しさです。

その壮大さや美しさ、また行き届いた手入れに驚きと感動の連続でした。
 
地方ではもちろんのこと、首都ロンドンの中心部にもRegents ParkやHyde Park、Hampsted Heath など広大な緑が広がっています。

それらはみな自然の美しさと人の手入れが融合した、素晴らしい公園たちです。


このValley Gardensも、ハロゲートの人々を長年いやし続けています。


この公園は、ハロゲートの歴史の象徴である、Pump Museumの目の前に位置しています。


ハロゲートの中心部からは丘を下り徒歩で10分ほどです。

 

夏季、このValley Gardensにはたくさんの花々が植えられ、訪れる人々を癒します。


 
さらに公園内の施設では、ジャズコンサートや結婚式など様々なイベントが行われます。



そんなValley Gardensの秋の姿とはどのようなものなのでしょうか?


 
まずは、枯葉の広がる小道を奥に進みます。


すると目の前にはたくさんの色づいた木々たちが!

 


その色彩は実に多様で日本の紅葉にも引けを取らない美しさです。

 
それらの紅葉した木々たちからは華やかさというより、儚さを感じました。

そんな中、枯葉の中にたたずむ小さなお家を見つけました。

 これらは昔ハロゲートが温泉地として有名だったころ、地下から温泉水を汲み出していた井戸だとか。

 温泉水はここからパイプを通して、街一番の温泉施設のRoyal Bath(現在のTurkish Bath)に送られていたそうです。

それにしてもおしゃれな井戸。
この公園とハロゲートの歴史を感じます。

 

 

さらに奥に進むと新たな道が現れます。

この公園、入口は小さいものの中はとても広い。

その遊歩道を10分ほど進むと、なにやら森の中へと道は続いていきます。


 

傍らには、十字架が…

この森の中に何があるのか、なにやら怪しげな雰囲気が漂います。


冒険心に任せて森の中へと入ります。


一気に大自然のど真ん中にやってきました。

木々の香りと、空気がおいしい。


 
向こうに、光が見える。

 

こんなところに出ました。

 

ヨークシャーデイルズの大自然が一望できます。




ここまでやって来たかいがありました。

実は、この遊歩道はThe pine woodといって、ハロゲートからHarlow Carrという植物公園までの連絡道の役割を果たしていたのです。



イギリスは日本と比べて標識が少なく、図らずに美しい景色や思わぬ目的地に導かれるところがとても楽しくて大好きです!

 
ここがHarlow Carr
http://www.rhs.org.uk/gardens/harlow-carr



ここにはたくさんの花や木が植えられており、一年を通して季節に合わせた様々な種類の花々が訪問客を楽しませます。

 

 

紅葉見物にはもってこいの場所です。
 

 

しかし、これといった紅葉イベントはありませんでした。

 

結論として、イギリスでは紅葉見物が、秋の風物詩と言えるほど浸透していないという事がわかりました。

しかしそれは、イギリス人が紅葉した木々の美しさと秋の息吹きを感じていないという事ではなく、
冬の近づきを感じながら、夏の暖かさを懐かしみながら、一人一人がしみじみと秋のはかなさを噛みしめるという、イギリス流の「秋」の愛で方なのだろうと私は思います。
 
 

ちなみに私個人としては、
枯葉の敷き詰められた芝生とその匂いの中で飲むあったかいコーヒーが、イギリスの秋で一番のお気に入りです。
 





2013年11月7日木曜日

ボンファイヤーナイト Bonfire night in York, 5th November

日本では花火と言えば夏の風物詩の一つですが、イギリスでは冬の代名詞と言えるでしょう。

その大きな理由として新年のカウントダウンとボンファイヤーナイト、この二つが挙げられます。

特にイギリスを象徴するお祭りが、このボンファイヤーナイト。

日本では満開の桜が始まりの季節の象徴ですが、学校が9月に始まるイギリスでは枯葉の匂いと
ボンファイヤーナイトが新たな生活の始まりを思い出させると、
イギリス人の友人が言っていました。
(彼女は敬虔なキリスト教徒のため、教義に合わないハロウィーンは祝いません。)

この催しの起源はGuy Fawksという人物に発します。


彼は、1605年の11月5日に国会に爆薬を大量に仕掛け(約2トン)、国王の暗殺計画を立てたグループの実行犯でしたが、その計画は失敗し、Guyを含むそのグループ全員は反逆罪で処刑されてしまいました。

国王はこのような反逆が二度と起きないように、11月5日にかがり火(ボンファイヤー)を焚いて、その中にGuyを模した人形を投げ入れるという行事を始めました。


それが期限となり、現在では全英中でボンファイヤーナイト(ガイフォークスナイト)が行われ、
イギリス史上最大のテロ未遂犯の失敗を祝っています。





このストーリーの概要を知りたい方はこちらをご覧ください。


400年の時を経て、イベントは多様化しましたが、どのイベントもボンファイヤーを焚いたのち、Guyの人形を投げ入れ、その後花火で締めるというのが定番のようです。


このようにイギリスの文化に深く浸透し、秋の風物詩となったボンファイヤーナイトですが、
その悪名高いGuy Fawksがヨークシャーの中心であるヨークで生まれ育ったことはあまり知られていません。

ということで今回はGuyの故郷ヨークで、一味違ったボンファイヤーナイトを体験してきました。

日本人にもお馴染みのヨークは、その豊かな歴史と美しい街並みから観光客が一年中絶えない
人気の町です。
街のシンボルであるヨークミンスターは、イギリス国教会の中でも2番目の地位を誇り、そのたたずまいは圧巻そのものです。

ハロゲートからヨークまでは、電車で40分。

ヨーク駅は、イギリスの中でも最も古い駅の一つで、隣接する鉄道博物館には、世界中から鉄道ファンが集まります。

そこには、日本人にとって懐かしい顔も。

駅を出たら、まずは街を散策、中心部にある中世の面影を残す小さな通り(シャンブル)を散歩します。



まるで、ハリーポッターの世界にいるかのような錯覚に陥ります。

その一角に、Guyの両親の旧家がひっそりとたたずんでいるのを見つけました。

ヨークとGuyにはやはり深い関係がありそうです。

シャンブルには様々な種類のお店が軒を連ねていて、ウィンドーショッピングにはもってこいです。


そんなお店たちを堪能しながらヨークミンスターを目指して歩いていると、
Guyの生家にたどり着きます。


その場所は現在Guy Fawks inn というホテルになっていて、バーやレストランが併設されています。私は、一階のバーでGuy Fawks に思いをはせることにしました。
Guy Fawks Inn

さすがにガイフォークスナイトの今日は、レストランは17時半から満席だそうで!

ちょっと待てよ・・・

Guy Fawksは凶悪な反逆犯だったはずだったのに、ヨークでは英雄のような扱いを受けているな。それが僕の純粋な印象でした。

バーでおいしいビールを楽しんだ後は、Guyが青春時代を過ごしたSt Peter`s school を訪れました。

そのたたずまいには、趣があります。
それもそのはず、この学校はなんと7世紀に創設され、1400年近くの歴史があるそうです。
イギリスの学校では普通、11月5日にボンファイヤーを焚くことが風習になっていますが、
この学校に通っていた友人によると、この学校ではボンファイヤーはやらないとのこと。

理由は、同校の生徒を侮辱するような行為はできないから、ということだそうです。




Guyゆかりの地を尋ねた後は、ついにタクシーでボンファイヤーナイトの会場に向かいます。
 

会場は、ヨーク市内中心部から車で15分のYork Maze.
York Maze
タクシーの運転手さんによると、このイベントがヨークのボンファイヤーで一番の規模を誇るとのこと。
ちなみにこの運転手さん、FacebookにGuyを賞賛する投稿をしたところ、スパムとして削除されたそうです。
Guy は権力に立ち向かった英雄だ!と彼は主張していました。

実際全英的にも、ヨーク出身の有名人の中では彼が一番の知名度を誇るでしょう。
Guy Fawks 凄し!

会場に着いたらまずはあったかいジャックポテトとMulled Wine(赤ワインをスパイスと一緒に温めたもの)で体を温めて、会場内を散策。

遊具やショー、劇など多様な催し物が行われていて、お祭りの雰囲気が盛り上げます。



メインステージでは、ミンスターモンスターというヨークのゆるキャラ?たちがカウントダウンを始めています。

そしてついに、ボンファイヤー点火!

ものすごい勢いで火が燃え広がり、熱気を感じます。

ちなみにこのボンファイヤーでもGuyの人形は燃やされず、代わりにイギリスの人気ドラマDoctor Whoの悪キャラが、そのドラマの50周年を記念して炎に呑まれていました(笑)

そうこうしているうちに今度は花火。

音楽のリズムに乗った花火が、夜空を彩ります。


気分は夏祭り・・・でも気温は3℃。

みんなの手には、かき氷の代わりにあったかいココア、文化の違いを感じました。

日本とは一味違った花火を楽しんだ後は、ライブミュージックの時間。

やはりロックの国イギリス、こんな田舎のおじさんバンドでも本当に上手い!
こんな50代を迎えたいな、と元気をくれるライブでした。

このようにイギリスのお祭りの代名詞、ボンファイヤーナイトを
歴史の街ヨークで存分に楽しんだ1日でした!

こんなユニークで歴史のあるイベントがイギリスにはあります。
みなさんもぜひ、歴史の街ヨークで一度体験してみてください。